ピポク川源流
秘境源流釣行
沢登りでピークを目指すような人が見向きもしないような渓流
魚釣りの人がおいそれと立ち入れないような渓流
そんな人知れずイワナが育つ秘境の川を目指す釣り。
山岳ガイドだからこそご案内できる源流のお話。
今年も新たな川でゲストと共に愛おしいイワナたちに会ってきました。
2016年度の新たな川は、旧名ピポク川。
意味は岩の下。
たしかに、ものすごい崖の下の川である。
その崖を利用して、この大河川には大きな2つのダムがある。
新冠ダム、そして奥新冠ダム。
今回目指したのは、奥新冠ダムが作る幌尻湖のインレット。
山上湖の湖畔で野営をしながら、
湖に流れ込む更なる奥地を目指すのが今年の目的だった。
しかしながら、そこは大手電力会社が有するダムで、至る林道は一般車両が通行止めとなっている。
つまりは徒歩で向かうしかないのだがその距離たるや20km。
そして林道とはいえかなりの高低差があるため、山登りに等しい20kmなのだ。
テントに寝袋、食料に釣り具。
減らすことはできない酒類。
重い、想いの詰まったザックを背負い、歩く5時間。
たどり着くダム湖。
しかし、ここはゴールではない。
目指すインレットまで、まだあと1時間。
地図でご覧になるとわかるだろう。道はない。
つまり、つまりは沢歩きと藪漕ぎ。
そこまでして?
なぜ?
だって車で行ける範囲でも十分に釣れるでしょう?
そんな声も少なくはない。
少なくはないが、しかし、誰もいない川。
無垢なイワナ。
にも代えがたい。
労に値する時間がそこにはあると思うのだ。
どこよりも澄んだ水。
大物の気配漂う川。
止むことのないライズ。
しかし、釣り以上に満ち足りた気持ちにさせる、ただそこにいるだけの時間。
ダム湖というある意味、人が作り出した環境であるが、
ダム湖であるが故に規制され、守られ、魚の育つ環境が残されている。
そんな場所だからこそ、安易に入るのではなく。
すべてを背負う覚悟で釣りに出かけたい場所である。